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- 2014.02
訪問介護・介護タクシー・居宅介護支援を運営する有限会社 七福神】(岩手県久慈市)優介護では、よりよいケアを行うため に、毎月、内部研修を行っています。今回は歯科医師を招いて 勉強会を行ったことで、口腔ケアの重要性を再確認しました。
勉強会で学んだ知識を利用者様のために活かす
当事業所では、毎月、さまざまなテーマで内部研修を行っています。
そうした中でたまたま日本訪問歯科協会のパンフレットが目にとまり、講師の先生が来てくれて無料で勉強会を行えると書いてあったので、とても興味をもちました。
これまで、外部の講師を招いての研修会は時々行っておりましたが、近くの歯科医師が来てくれるという話を聞いて、ぜひお願いしたいと思い、協会に連絡を取り、勉強会が実現しました。
自分の口で食べてしゃべることが、寝たきりの防止や長生きにつながることも教えていただきました。また、歯みがきは食べてすぐに行うのではなく、食後30分くらいたってから行ったほうが歯へのダメージが少ないというお話も新鮮でタメになりました。
さらに、歯医者さんの治療には器材がたくさん必要なので、医院にいかないと治療は無理だと思っていましたが、訪問歯科診療があり、久慈市でも受けられるという情報もとても役に立ちました。 ケアプランになくてもお口の中に意識を向ける 勉強会で口腔ケアの重要性を知り、自分自身の歯磨きも、利用者様に対する口腔ケアの意識も変わりました。
これまではケアプランの中に口腔ケアが入っていない方ですと、お口の中まで見ることは、どうしても少し遠慮していました。けれども今では、プランに入っていなくても、飲食の後には「歯磨きしましょうか? お口の中、見せてください」「入れ歯を磨きましょうか」などと積極的に声をかけるようにしています。
生活介護のケアプランでは、口腔ケアはあまり入ってきません。自分で歯磨きができる方も多いのですが、誰かに促されないとやらないことがほとんど。「入れ歯をはずしてくれたら洗いますよ」と言っても、「悪いからいいよ。あとで自分でやるから」と遠慮する方もいます。入れ歯を寝るときもずっと入れっぱなしという方もいます。
口腔ケアの大切さを再確認した以上、そうした利用者様にも、勉強会で得た知識を活かし、ケアを促していきたいと思います。
口腔の粘膜免疫システム「疫から免れる」と書くように、「免疫」の大きな役割は、体内に侵入するウイルスや細菌、がん細胞など、体にとって異物となるものから身を守ることです。口はこうした異物の侵入口でもあり、侵入を防ぐバリアでもあります。
近年の研究で、口腔のような粘膜組織には独自の免疫システムがあることがわかってきています。体内のリンパ球などの免疫細胞による免疫システム(全身系免疫)とは独立したシステムで、粘膜そのものが免疫組織であり、粘膜免疫システムと言われています。
しかし、せっかくの優れた口腔内の免疫システムも、口の中が汚れていてはその効果が十分に発揮できません。
65歳の高齢者を対象に、普通に歯磨きをしたグループと歯間ブラシなどを使って念入りに口腔ケアを行ったグループを比較した研究では、念入りケアのグループのほうがインフルエンザの罹患率が10分の1以下だったという報告があります。
さらに、別の研究では、1日2回以上歯磨きをする人は、1日1回の人に比べると、口の中や食道のがんになるリスクが3割低いことが報告されています。
免疫力アップやがん予防のためにも、口腔ケアをしっかり行いましょう。
発行/SOSデンティスト 一般社団法人 日本訪問歯科協会
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