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- 2013.11
【ベストケア・デイサービスセンター 安佐南】(広島県)では、介護の中で後回しになりがちな口腔ケアをできる限り時間を惜しまずに行うための取り組みをしています。初めて実施した『お口の健康相談会』でも、予想以上によい反応が得られたそうです。
後回しになりがちな口腔ケアを職員一丸となって積極的に!
『お口の健康相談会』は予想以上によい反応が
ベストケアでは、昼食前には口腔体操のオリジナルDVDを放映しながら、「パタカラ」やあごと口を動かす体操などをして、食後も歯磨きなどのケアを行います。言語聴覚士もスタッフにいますので、誤嚥をしないようにフォローしたり、食事のとろみ調整などに介入したりもらっています。
利用者様には自分の歯をしっかり守って、お食事をおいしく食べていただきたいのです。とろみ食やミキサー食などを私も食べてみたことがありますが、栄養は摂れてもおいしくは感じられず、食べることを楽しむためにも口腔ケアは大切だと実感しました。
『お口の健康相談会』は昨年初めて実施しましたが、相談会の反応は利用者様もご家族も予想以上によかったです。相談会の結果の報告書に、皆さんきちんと目を通してくだったようです。
ご家族の方から「歯の調子が悪そうだとは思っていたけれど、相談会ではっきりと状態がわかったので、歯医者さんに連れて行きます」という声が聞かれ、結果にショックを受け、これはすぐに歯医者に行かなければ、と言っていた利用者様もいらっしゃいました。なかなか歯医者に行けない場合には、訪問歯科診療があることもご紹介することができました。
曜日が合わずに参加できなかった利用者様からは「ぜひ参加したい」という声もありましたので、第2回目も開催する予定です。
(上田さん) 口腔ケアで誤嚥性肺炎のリスクを減らす取り組みを
私は言語聴覚士として、口腔ケアを確実にしていただくように評価し、介護スタッフに口腔ケアの必要性を伝え、昼食後は口腔ケアを誘導して、利用者様のお手伝いもします。ケアをしていると、歯がぐらぐらしている方もいらっしゃいますので、歯医者さんを受診しているか確認したり、必要であればケアマネさんからご家族に言っていただけるよう提案もしています。
口腔ケアは朝晩ご自宅で行えば、お昼はデイサービスデ無理にやらなくてもよいのでは、という所もあるようです。しかし、昼食後も当然お口の中に食べかすはたまります。食後にそのまま休息に入る方もいて、眠っているときに口の中に残った物を飲み込んでしまうこともありえます。昼食後もきちんとケアをして、誤嚥性肺炎のリスクを少しでも減らしていく取り組みを看護師と一緒に行っていて、介護スタッフにも啓蒙していきながら取り組んでいます。
(沖田さん)
心筋梗塞と歯周病の関係日本人の死因の第2位に挙げられる心臓病の中で、代表的なものが心筋梗塞です。冠動脈が血栓(血液の固まり)によって詰まることで、心臓に血液が送られなくなり、心筋が壊死する病気で、治療が遅れると死に至る恐ろしい病気です。
動脈硬化が進んだ中高年に多くみられ、高血圧や糖尿病、高コレステロール血症、肥満、喫煙、運動不足、ストレスなどが危険因子に挙げられていますが、最近では、重度の歯周病にかかっていると心筋梗塞のリスクが高まるという研究発表が報告されています。死後に解剖した結果、心臓の建艦内から本来あるはずのない歯周病菌が発見され、歯周病が原因の心筋梗塞が見つかったケースもあります。
心臓の病気と歯周病は一見まったく関係がないように思えますが、歯周病が進行すると歯周病菌の一部が口腔内の傷から血液中に入りこむと、血管壁を傷つけたり、血小板に異常を来して血栓ができやすくなったりすることがわかっています。
むし歯や歯周病などのお口のトラブルは、全身の健康にも大きな影響を及ぼし、命取りになることもあるのです。心筋梗塞予防のためにも、日頃の口腔ケアをしっかりと行いましょう。
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