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- 2013.10
【春日市社協デイサービスセンター】(福岡県)では、『お口の健康相談会』を実施することで、ご家族にとって普段どうしても後回しになりがちな口腔ケアに関心を向けてもらうきっか けになればと考えています。
お口の健康に関心をもっていただく体制づくりを
お口の健康や口腔ケアの大切さを利用者様やご家族の方に関心をもっていただき、実行していただくのはなかなか大変です。
自宅での介護はやることがたくさんあり、お口のことまで手が回らないのが実情だからです。
私たちも口腔ケアや歯の治療のことだけを強調して「やってください」というわけにもいきません。
そうした中で、日本訪問歯科協会の協力で『お口の健康相談会』を行ったことは、ご家族に関心をもっていただくためのよいきっかけになりました。
お口の相談会には歯医者さんが2人も! 『お口の健康相談会』には13名の方が参加され、歯医者さんは2人も来てくれました。女性の先生のほうがよい方もいるかもしれないと協会のほうで配慮してくれたそうで、結果的にはそれがよかったと思います。
先生方は一人ずつにていねいに対応してくださいました。
私たちも利用者様の側でお話を聞いていましたので、今、その方のお口の中がどんな状態にあるのかを知ることができました。
中には口内炎ができていて食欲が落ちていた方がいらっしゃいましたが、相談会でみてもらった後は、痛みもひいて食事もとりやすくなったと喜んでいらっしゃいました。
ただ、後日、先生から報告書をいただきましたが、「C」や「P」など専門用語で書かれていてよくわからないところがありました。
もう少し一般の人にもわかるように書いていただけると、なおよかったと思います。 ご家族の方に情報提供していくことの大切さ 相談会の結果は、利用者様ご本人やご家族の方にもお渡ししました。
入れ歯の調整や治療が必要な方もいらっしゃいましたが、今、ひとまずお食事を食べられている状態だと、もうしばらく様子をみてみようと、すぐに治療に結びつかないことも多いのです。
でも、訪問歯科診療に興味を示されたご家族の方もいらしたので、情報提供をしていくことが大切だと思います。
当センターではこれまでも歯科衛生士さんに定期的に来ていただき、口腔ケアに取り組んでいました。
お口の状態も気づいたことは連絡ノートに書いて伝えてきましたが、今後は年中行事として『お口の健康相談会』も定期的に実施し、もっと皆さんにお口の健康に関心をもっていただけるよう、体制作りを整えていきたいです。
お口の中は細菌がいっぱい大人の口の中には、300~700種類の細菌が生息しているといわれます。
歯をよく磨く人で1000~2000億個、あまり歯を磨かない人では4000~6000億個、さらにほとんど磨かない人では1兆個もの細菌がすみ着いています。
母親のお腹の中にいる胎児は無菌状態の羊水の中で成長するので、口の中にも細菌はいません。
しかし、世に生まれ出てからは、主に母親や家族からの細菌が新生児の口の中に移って定着します。
母親の口の中に虫歯の原因となるミュータンス菌が多いと、子どもに移行して虫歯になりやすいことも報告されています。
口の中の汚れや細菌は、唾液のもつ自浄作用によって洗い流されますが、加齢によって唾液の分泌量が減ることで、さらに細菌が定着しやすくなります。
口の中の細菌には、カンジダ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎桿菌、インフルエンザ菌など、全身疾患の原因菌も含まれていて、免疫力の低下とともに増殖し、病気を引き起こすこともあります。
病気のリスクを減らすためにも、口腔ケアをしっかり行ってお口の中を清潔に保つことが大切です。
細菌は、口蓋や舌の表面にも潜んでいるので、歯だけでなく舌や粘膜の清掃もしっかり行いましょう。
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