歯磨きの介助
実践!口腔ケアマニュアル
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厚生労働省による最新の調査によると、国民の96・2%が毎日歯磨きを行っているといいます。いまや歯磨きはすっかり日本人の日常の生活習慣として定着しています。しかし脳血管障害や、それに伴う片麻痺、経管栄養等で要介護状態にある人は、自分で歯磨きが十分にできず、むし歯や歯周病になりやすい状態にあります。さらに、免疫力が低下した状態で誤嚥性肺炎等を起こすと命の危険もあります。そのため、介助者による口腔ケアが必要となるのです。
歯磨きに介助の必要な方を見分けるポイントは、次の4点が挙げられます。
1.前歯等磨きやすい部分だけ磨いていないか
2.歯磨きをしている時間が極端に短くないか(1分未満)
3.歯ブラシをあまり動かさずに磨いていないか
4.口腔ケア用具の準備や移動ができるか
介護者の歯磨き介助の方法は、要介護者の自立度によって異なります。清掃法は、基本的に歯ブラシを使った機械的清掃をメインとして行い、化学的清掃は補助的に実施します。実際の歯磨き介助の際には次の点にご注意ください。
- 本人の自立や意欲を阻害しない
- 本人ができる部分は本人にまかせ、歯磨きする意欲を失わせないようにします。
- どこが汚れているか確認する
- 歯、口腔粘膜、入れ歯の汚れ、食べかす等が確認できる姿勢、位置に配慮します。
- 歯ブラシの持ち方と当て方
- 歯ブラシの持ち方にはパームグリップ(手のひらで握る方法)とペングリップ(ペンを持つような握り方)があります。歯磨き圧は通常200~500グラムが目安ですが、力を入れすぎないように持つことが重要です。また、歯と歯肉の境目には毛先を45度の角度で当て、歯の外側には垂直に当てます。
- 歯ブラシの動かし方
- 水平法(横磨き)、垂直法(縦磨き)、回転法、描円法、振動法などがありますが、歯科医師、歯科衛生士からその方の口腔状態に合ったブラッシング法を指導してもらうのが理想です。
- 磨く順序・体位
- 磨き残しを防ぐために、一定の順序を決めておきます。生活のリズムを作るためにも、歯磨きはできるだけ洗面所で行うようにします。ベッドで行うときは、起座位または半座位で行いましょう。上半身を起こせないときは側臥位または仰臥位で、マヒ側を上にします。
- 誤嚥防止
- 水は誤嚥防止のため、必要以上に使わないようにします。
- 歯磨き後の確認
- 一通り終わったら、必ず口腔内や唇を観察し、食べかすや歯垢が残っていないか、出血や口臭がないかを確認します。
「歯磨きの介助」のまとめ
- 自分で歯磨きが十分にできない人に対しては、誤嚥性肺炎などの防止のためにも介助が必要
- 介助方法は要介護者の自立度によって異なるが、歯ブラシを使った機械的清掃がメインとなる
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