よく噛むことの効果
実践!口腔ケアマニュアル
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■噛んで認知症を予防
認知症の高齢者を対象としたある調査では、重度の人ほど、口のなかの状態が悪く、ちゃんと噛むことができない状態が目立ったと報告されています。ほかにも歯がない人や入れ歯を使っていない人など、噛むことになんらかのトラブルがある人には、痴呆の症状が多いという結果が出ています。よく噛むことは脳の働きを活発にすることがわかっていますが、認知症を予防する効果もあるのではないかと期待されています。
■噛むことが転倒防止につながる
さらに、噛むことは、全身の運動にも大きく関わっています。立ち上がるときや、重い荷物を持ち上げるとき、歯をぐっと噛み締めることで力を出せます。また、入れ歯をつけているときは歩くリズムが安定しているが、入れ歯を外すと踏ん張りが利かず、つまずきやすくなるとも言われています。
■噛むことで得られる効果
そのほかにも、食べるときに無意識に行っている「噛む」という行為には、次のような効果が認められています。
- 胃腸の働きを促進する よく噛むことで、唾液中の消化酵素の分泌が活発になり、細かく噛み砕けば胃腸への負担を和らげることができる。
- むし歯、歯周病、口臭を予防する しっかり噛むことで、唾液の分泌が増え、唾液の抗菌作用によって口腔内の清掃効果が高まる。
- 肥満を予防する ゆっくりたくさん噛むことで、満腹感を感じるようになり、食べ過ぎを防ぐことができる。
- 脳の働きを活発にする 噛むことが、脳への血流を促進し、それが刺激となって脳の働きを活発にするため、脳の老化防止につながる。
- 全身の体力の向上 しっかり栄養を得ることができるようになり、全身の体力向上につながる。
- 味覚が発達する よく噛むことでじっくり味わえ、味覚が発達する。
- 発音がはっきりする 口の周りの筋肉が発達し、言葉の発音がはっきりする。
■80歳で20本の歯
長寿国日本では、平均寿命は世界でトップクラスですが、歯の寿命となるとまだまだです。永久歯の数は、親知らずを抜かすと上下合わせて28本。80歳になっても20本の歯を保ち、一生自分の歯で食べようという「8020(はちまる・にいまる)運動」が提唱されています。これは自分の歯が20本残っていれば、しっかり噛むこともでき、健康を維持しやすくなるからです。
とにかく、よい歯でよく噛むことが健康な体づくりの基本。そのためは口腔内のトラブルを解消しておくこと、そして日常的な口腔ケアを徹底することが重要です。
「よく噛むことの効果」のまとめ
- よく噛むことは、認知症を予防する効果もある
- 加えて、消化促進、むし歯・歯周病・肥満の予防、味覚・発音を向上させる効果もある
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